初夏

届いた友人からの手紙に奇妙なことが書いてある。

「これを書いているのは仲秋の名月が空けた昼です」

文面から察するに、銀座郵便局の昭和基地内分室サービスを利用したらしい。

書いているのは10月、消印は12月、届くのは4月。
1秒もかからずにメッセージを発することができる時代に、こんなにものんびりとした速度である。

消印がなぜ12月なのか…
この日付は手紙を載せた南極観測船「しらせ」が昭和基地に接岸した日付なのである。
南極観測船「しらせ」、自我をもっている生物のように思える。

このように、日本と南極と、秋と冬と春と初夏の間を含有した手紙が届いた。
猛烈に季節の香りを感じ取れて嬉しかった。

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ドライ機能が運ぶかび臭さ、自律神経のバランスに干渉する人工的な風、これらからも季節を感じることができる。
今朝は頭上からの風を受けながら、あぁ、初夏が来ているのかもしれない、と思った。

いつの間にか花見の季節はすぎていた。
夏休みの宿題の提出をしくじる、それどころか着手すらしないまま40日間をもてあましてた小学生の頃と同じように、なんとなく目の前を通り過ぎる季節の出来事に手を出せないことが多い。

これらの季節の出来事を大事にできる人はきっと部屋の掃除などが得意なのだろう。
自分は季節の移り変わりや、特定の季節を愛しているが、まったくもって行動が伴っていない。

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